しの笛の詩 『吹笛』 (中国)
笛を吹く 秋山 風月の清きに
誰家か巧みに作す 断腸の声
風は律呂 飄して 相和すること切に
月は閉山に傍うて 幾処か 明らかなる
胡騎 中宵北走するに 堪えたり
武陵の一曲 南征を想う
故国の 楊柳 今揺 落す
何ぞ 愁中に 卻って
尽く 生ずるを 得し
(解説)
笛の調べが伝わってくる
秋の山の風も月も、清らかにさえわたる中で
吹いているのは誰か。
聞くものの はらわたをかきむしるような、
悲しい響きを 巧みにも吹きならすとは、
風は律の調べ 呂の響きをゆるがせて、
見事な調和をつくり出す。
月は月路をさえぎる 山なみの稜線にかかって、
いくつかの峰を 明るく浮き立たせる
いかにも この調べには えびすの兵士どもを
夜中に北へと 退去させるだけの 哀切がこもっている
奏でられる武陵のひとふしには 遠い南の地方へと
遠征した人の心をしのばせる。
わがふるさとの庭に立つ楊柳は
いまごろ葉をふるい落としているはずだ、
この葉が折楊柳の曲につれて
優愁に満ちた私の胸の中に、
ことごとく また生り出でるとは、
いったい なんとしたことか。


はじめまして!